単語帳の選び方(2)
この記事の続きとして、今度は実際にいくつかの単語帳を比べたいと思います。
順番は個人的に思う難易度(上に簡単なもの)です。
(1)聞く単 Basic
改訂版キクタンBasic4000 (英語の超人になる!アルク学参シリーズ)
- 作者: 一杉武史
- 出版社/メーカー: アルク
- 発売日: 2012/07/07
- メディア: 単行本
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お勧め度 ★★★★☆
[良い点]
・シリーズとして充実しており、大学受験のみならず、このシリーズだけでノンネイティブとしては最高レベルまで目指せそうであること
・簡単な単語帳の中では比較的同義語や対義語、派生語を書いてある
・難易度順になっている
・かなり易しい単語から始まっており、中学の学習に多少不安が残る人が使っても大丈夫そう
・CDがついている
[悪い点]
・聞く単シリーズすべてに言えることですが、この赤いページは僕は好きになれないです(慣れの問題だと思いますが)。
[評]
受験向けとしては最も簡単な単語集の一つだと思います。高校1、2年生で難関校を狙う人がコツコツ使ったり、日東駒專以下狙いの方には良いかもしれません。一番後ろのほうまでやるとセンターの長文くらいなら、無理なく読めるようになるのではないかと思います。あと、音声が無料でついているのもよいです。音声大事です音声。
(2)英単語ターゲット1400
お勧め度 ★☆☆☆☆
[良い点]
・難易度順になっている
・一単語一意(良くも悪くも)
[悪い点]
・対象者に対して単語のレベルが高いように思う
[評]
センター試験以下のレベルを集めてるはずなのですが、意外と難しい単語が多いのではないかと感じます。帯に短し襷に長しじゃないかなと。
(3)英単語ターゲット1900
お勧め度 ★★☆☆☆
[良い点]
・シリーズが充実している。
・レベル順、最初は特に簡単な単語から始まっているので一冊目向き。
・装丁が比較的落ち着いていて見やすい。
[悪い点]
・上位レベルのシリーズは皆無。難関大学志望やより上を目指して継続して使うことは不可能。
・同義語や熟語はほとんど載っていない。一応、その代わりに、類義語は似た部分に配置されているが、レベルが違う同義語はうまく扱われていない印象。
[評]
私自身が大学受験時に一冊目として使っていた本ですので愛着はありますが、正直微妙です。有名なのでユーザーは多いですし、僕と同じように愛着を持つ人は多いでしょうが、僕はあまり人には勧められません。のちに紹介しますが、装丁さえ嫌いでなければ聞く単(basic)のほうが良いんじゃないかと思います。ただ、派手な装丁が嫌いな僕としては、レイアウトは重要で、ターゲットの装丁は嫌いではありません。
ただ、一単語に一義という主義は最初は良いのですが、この考えを続けるのは微妙だと思います。多義語や複数の前置詞と結びついて複数の意味を持つ単語は多いです。そういう単語について習熟するには1単語に1例文では少ないですし、すべての例文1900文を暗記するのも不可能でしょう。
(4)システム英単語
お勧め度 ★☆☆☆☆
[良い点]
・フレーズごと覚えられる。
・レベル順に並んでいる。
・たまにあるクイズや問題が楽しい。
・多義語のまとめが良い。
[悪い点]
・レイアウトが目障り。雑。
・同義語はほとんどなし。
[評]
ほとんど使っていないので詳述は避けますが、レイアウトがひどいと思うのは僕だけでしょうか…。フレーズで覚えようという考え方は嫌いではありませんが、著者が強調するほど効果的とも思いません。DuoやAll in oneのように工夫された文を覚えるほうが良いのではないかと思います。
(5)速読英単語 必修編
お勧め度 ★★★★☆
[良い点]
・文章が興味深い。面白い。
・多読につながる。英文に慣れられる。
[悪い点]
・基本単語の漏れがちらほら。
・英文を読む学力がない場合、非常に非効率。
[評]
個人的に多読は非常に重要だと思っているので、それなりに英文が読めるようになったら、ぜひとも取り組んでほしい一冊です。個人的な経験なのですが、英語で基礎的な勉強を続けているにも関わらず、低い点数を取る人は長文の読書量が少ないせいという場合が多々あります。日本語への訳は知ってるけど、ニュアンスやどういう状況で使うべきか全く知らなかったりが主な原因だと思われます。そういう人に対して、多読は抜群に効くので、こういった簡単な英文から多読を始めるのは良いことだと思います。
ただ、網羅性は決して高くありません。あくまで2冊目以降に向いた本だと思います。おそらく、センターで130点くらい、TOEICで350点くらいあれば読め始めるのではないかと。長文の分、単語の暗記には使いにくいのかなとも思います。あくまで、「覚えた単語を実用する」ためのものかなと。
(注意) 初級者でも読めるように単語や熟語が制限されているため、本来のネイティブが書くような文章とはかなり書き方が違うようにも感じます。なので、あんまりこの文章に慣れ過ぎるのもどうかと少し思います。ただ、こんなことを気にするのは、自分が実際に生活で英語を使うようになってからで良いと思います。笑
(6)Duo 3.0
お勧め度 ★★★★☆
[良い点]
・一つの文章に多くの単語やフレーズが詰まっており、それほど無理なく例文暗記できる。
・類義語、対義語、派生語いずれも大学受験レベルは十分にカバー!(←ここがすごい!)
・復習用CDは1時間聞くだけで全文章の復習になる。1時間で全復習ができるのは驚異的だと思う。
・熟語もかなりカバーしているし、文法的に重要な構文も多くカバーされている。
[悪い点]
・文語を学ぶ上では不要な単語が多い。口語的な表現が多く、ほかにも男女の交際に関する語など、受験や資格試験ではなかなか目にしない用語も多い。
・やや重要語の漏れもある気もする。
[評]
復習用CDが1時間ぴったりで終わるというのは、学習計画を立てる上で非常に便利です。たとえば、「毎朝1時間、絶対CDを一周するのを習慣化する」とか、「通勤(通学)時間を利用して」など、習慣化しやすい気がします。あと、類義語や対義語のカバーがかなり秀逸だと思います。個人的にはここが好きです。よく勉強していると、「increase は増える。あれ?ほかに同じような単語なかったっけ?」となると思います。そういったときに類義語を載せてくれているのは非常にありがたいです。
ただ、表現が口語的なものが多い気もします。留学したり、旅行したりする際には有用なフレーズなんでしょうが、試験に使えるかというとやや微妙な表現も多いですね。
とはいえ、一度は買って取り組むべき一冊だと思います。文章が読めないと使いづらいので、センターの過去問で140点、もしくはTOEICで500点くらい取れてから始めると効果的ではないかと思います。
(7)鉄壁
お勧め度 ★★★☆☆
[良い点]
・意味、テーマ別になっている
・派生語や同義語、派生語の扱いが非常に丁寧
・無駄な色が少なく目が疲れない
[悪い点]
・レベル別になっておらず、初学者がこの単語帳を使うと、簡単な単語に漏れが出過ぎる
[評]
非常に評価するのが難しく感じる単語帳です。
自分がライティングをする際には、こういう分野別や意味別の単語帳は重宝します。
おそらく、書いてみると「この単語ばっか使うなぁ」と思う単語が出てくるので、それの重複をさけるのには効果的です。そういう意味で英作文か和文英訳が出る大学を受ける場合にはありだと思います。ただ、そうでない場合はほかに良い単語帳があると思います。
(8)単語王
お勧め度 ★★★☆☆
[良い点]
・レベル別。
・単語選びが秀逸。網羅的かつ無理がない。
(この単語王の中で最難レベルとされる「栄光の176語」も大学以降でまじめに英語を勉強していれば『必ず』知っているレベルといえると思う。)
・類義語、対義語や熟語がカバーされている。
・多義語を重点的に扱っている。
[悪い点]
・簡単な単語→難単語→簡単な単語→難単語・・・という配列は個人的に使いにくい。通常、表に近い単語ほど記憶に定着すると思うので、最初は簡単な単語を集中させるべきだと僕は考えている。
・配列に配慮があまり見られない。
・(もっと言うと、)全体的に配列の意図があまり感じられない。
・宣伝がうざい!笑
[評]
原則的に、扱っている単語は良いと思いますし、類義語や対義語等が載っているのも好感触です。多義語については、やや注意喚起するようなレイアウトになっているのも良いと思います。
一方で、動詞や形容詞、副詞、名詞の順序を工夫したり、もっと全体のレイアウトも見直したほうがよくなるんじゃないかなと僕は思います。一冊目にこの本をやると、最初の難単語を覚える一方で、後半の簡単な単語を覚えていないとかなりそうで怖いですね。これもやるとしたら2冊目向けですかね(むしろ一冊目ってどうすればよいんだろう)
宣伝については、むしろこれこそが単語王と感じなくもないです。笑
(9)パス単 準一級
お勧め度 ★★★☆☆
[良い点]
・レベル順、品詞別になっている。レイアウトが見やすい!
・類義語、対義語、派生語がカバーされている。
・音声無料!
[悪い点]
・大学受験用と考えると、やや難しい単語ばかりか。
[評]
個人的にパス単の準1級用と1級用はかなり良いと思っています。レベル別になっており、前から順に使っていくだけで簡単な単語は覚えられますし、品詞別になっているので「これは動詞か名詞か」と迷う心配は一切ありません(まぁ大学受験生でもTOEIC受験者でも慣れてくると品詞で迷うことはかなり少なくなりますが)。
音声無料というのも好感度高いです。大学受験の単語帳は、CD別売りで、CDだけで2000円近くとるものが多いのですが、英語資格用であったり、生涯学習用(?)の英単語帳はCDがついているものが多いです。パス単の場合はダウンロードですね。なぜかというと、目だけでなく、耳でも覚えることで記憶のしやすさ、定着率が向上するからです。音声をあなどってはいけません。絶対に。本当に。
ただ、準一級用は、やはり受験向けにはすこし難しいかもしれません。めちゃくちゃ難しいわけでもないので悪くはないと思います。準一級が難しいからといって、二級用は単語を羅列してるだけで、準一級用に比べると質がかなり落ちます(そもそも初学者は類義語とか覚える前に、一個一個の単語を覚える必要があるので、そのような類義語や対義語が省かれるのは学習者のためなのかもしれませんが)。
文脈で覚えるよりも、単語ごとに覚えるのが好きという人が、大学受験を超えて勉強したいというときにはパス単はお勧めです。
ひとまず現時点で公開しますが、随時評価を改めたり、新たな単語帳への評価を加えていきたいと思います。