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英語中級者からの脱却を目指して!

学部・修士・MBA留学のその先について

あくまで私自身はPhD留学しか経験していないので、学部・修士MBA学位留学について実体験をもって話せるほど詳しいわけではないですが、PhDにも共通していることがあるためある程度情報収集していたり、また留学友達等を通じて色々なことを聞くので、その話をすこししてみようと思います。基本的にはアメリカを念頭に置いているので、他国の場合大きく事情が違うと思います。

 

(1)就職について

交換留学や語学留学という選択肢ではなく学位留学として学部、修士に留学する人の場合、「卒業後も国際的に活躍したい!」という意識、もっと具体的には「アメリカで働きたい」という意思を持っている人の割合は高いと思います。

 

その一方で、実際に日本人が直面する就労ビザアメリカの就活市場の様子を高校生や学部生が完全に情報収集しているかというとそんなことは出来ていないことが多いように感じます。ここではそういった困難に直面した人たちの意見をまず紹介します。

youtu.be

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このように、ともかく就労ビザがでないという問題が大きな点です。

 

これらは動画なのでざっくりしていますが、より詳細には以下のブログ集が非常に有用です。一連の連載に一度は目を通す価値があると思います。困難と苦労がにじみ出ていながらも、それに抗ったアツさもある渾身の記事だと思います。

kellogg-prospective.com

※こちらの記事は昔は個人ブログだったものを、今はNorthwestern Univ. Kellog (NorthwesternのMBAプログラムの名前)へ留学している人たちで共有して編集する形態に変化させたようです。その結果、リンク等がうまく機能していないようです。

 

就職先に関するクリアな場合分け(日本企業で日本で働くか、日本企業の海外法人や海外支店で働くか、それともアメリカ企業のアメリカ法人や支店で働くか)を初めに行い、それぞれに対して難易度の違いやルートの違いも丁寧にまとめています。

 

このブログの著者の場合、アメリカのtop tier企業に的を絞っていたようなので、一段と困難には聞こえますが、この部分は就職したい企業に関係なくある程度共通して日本人(外国人)が直面する課題だと思います。

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(1)米国での就職を「圧倒的に」有利にする要素

o    後に詳しく述べるが、就労権が無いことが採用側から見た最大のボトルネックになるため

  • Undergradで米国の名門大学を出ている/米国での就労経験がある(日本企業での駐在を除く)

o    後述するが、レジュメ上米国での経験/実績が無いということが採用の意思決定上大きなリスクファクター/ボトルネックになるため

  • 英語力と感覚/行動/思考回路がほぼアメリカ人レベル

o    幼少期-思春期に掛けて長期間アメリカで過ごしていた、日本語より英語の方がcomfortable、みたいな人

  • 要は、上記3つの組み合わせで、採用担当者から見て、「ああ、こいつアメリカ人ね」と見られる人

 

(2)「多少」有利にしてくれる要素

o    Tangibleなハードスキルが欲しい採用側からすると非常に分かり易い売りになる

o    それらのファームに採用され、プロモーションしていること自体が優秀さの証明的に解釈される(実際優秀かどうかは全く別として、採用側の勝手なパーセプションとして)

o    特にBCGやMcKinseyの出身者はMBA全体の中でも少なく、さらにジョブマーケットに出てくる弾はさらに少ないため、多少稀少価値が出る

o    多くの会社のポジションのjob requirementでも、「この業界/ファンクションの経験者、またはBCG/McKinseyなどのtop consulting firm出身者」と明記されているケースも存在

o    さらに、5年以上のキャリアがあったり、マネジメントの肩書きを持っていたり、top of top performer/earliest trackだったりするとさらなる差別化に(米国ではコンサルティングファーム出身者でMBAに来るのは2-4年目のアナリスト/コンサルタントレベルがほとんどなので)

o    金融系のポジションに限り、投資銀行キャリアも同様の効果

  • アプライするポジションにダイレクトに必要なスペシフィックな経験/能力を持っている

o    例)「製薬企業のR&Dについて知り尽くしていて、且つビジネスのこともある程度分かる人」という求人に対し、薬学のPhDを持っていて、グローバルファーマの日本のR&Dで長年経験を積んできた

o    例) 医者or弁護士でビジネス経験のあるMBA求む、バイオとVC投資のプロMBA急募、等

 

(3)役に立つかもと思われてるかも知れないが、実際はほとんど役に立たない要素

  • 1-2年の海外経験あり(高校/大学で1年交換留学、仕事で一年駐在、みたいなパターン)

o    レジュメ上日本人であることに全く変わりは無い。無いよりはまし、+0.2点、みたいなイメージ

  • 日本人の中では特に英語が得意な方

o    求められる英語のレベルが全く違う。MBAで議論/プレゼン出来るのとは求められるものの次元が違う

  • 日本企業からの駐在で米国で働いていた

o    アメリカ人としてアメリカのアメリカ企業で働くのとは全く別

  • 米国企業の日本オフィスで働いていた

o    同上。そもそもその会社の米国オフィスで働いてたアメリカ人ゴロゴロいるし

 

(4)原則一切役に立たない要素

  • 日本人であること

o    アメリカ人じゃなく日本人を取るメリット/理由なんてどこにもない

o    日本人をスペシフィックに取りたいポジションじゃない限り、ただひたすら大きなマイナスにしかならない

  • 日本の有名企業出身である

o    「ふーん…で?」という感じ

o    積んできた経験の中身も、「文化違うし/知らない会社だし」と大幅割引される

  • 日本の一流大学出身

o    誰も知りやしねえ

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ともかく、日本と風土・考え方が違うことがビシビシ伝わってくると思います。これらを克服する戦略としては、

・アメリカ以外(動画の場合カナダ)の大学に留学する

・語学力と就労条件のデメリットを考慮してもネイティブに負けない専門性を身に着ける

でしょうか。

 

日本人の中ではそもそもTOEFLを受ける人さえ少なく、そこで留学ができるようなスコアを取る人も少ないので、留学さえできれば優秀みたいな雰囲気も感じることもあります。しかし、実は留学してからの勝負の方がずっとずっと厳しいというのが現実です。

 

今回は(今回も?)良い記事紹介だけの記事になってしまった気もしますが、読んでくださった方の留学に対する戦略を考え直すきっかけになればと思います。