海外で生活したい人ほどSTEMに行くべき(か?)
こういうツイートを先日見ました。
将来海外へ留学、海外で生活したい人こそ、理数系に行くべき。逆に一番行ってはいけないのは「英文学部」「国際~の文系学部」。こういう進路指導が中学・高校で本来されるべき。https://t.co/DL9kLiEiM1
— はるじぇー (@HAL_J) May 31, 2018
中高生に向けるコメントとして大枠はその通りだと私も思います。
しかし、理数系に限らず、今のアメリカでデファクトスタンダードになりつつあるのはSTEMだと感じます。日本では留学に興味のある学生にさえ、STEMという言葉がそれほど広がってない気がするので少しSTEMに関して触れてみようと思います。
STEMとはScience, Technology, Enginerring and Mathematicsの略です。この言葉だと理系に非常に近い印象を受けるでしょうが,このScienceには社会科学が含まれます。したがって、
・人類学
・経済学
・心理学
・社会学
などがSTEMと認定されることがあります(※)。National Science Foundationというアメリカの学術振興会のような組織は社会科学や教育法なんかも積極的にSTEMに含むように記述していますが、ある学問がSTEMかどうかはその大学によって異なります。
(※正確には、
に載っている学位がSTEMに入ります。ただし、分類が非常に細かいのが分かるでしょう。Managementという単語で検索しても、15種類も該当します。このとき、経営学部のどの専攻がSTEMかを判定するのが各大学にゆだねられているようです。例えばほとんど履修する講義は同じなのに、MBAで経営工学専攻ならSTEMで、経営学専攻だとSTEMにならないといった話はたまに聞きます。)
なぜSTEMが重要か。それはSTEMの留学生がアメリカ社会に求められているからです。背景は以下のようなものです。
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特に問題になっているのが、STEM (理系分野という意味で、略してScience, Technology, Engineering, Math) advanced degree programの卒業生。主に共和党がサポートした法案で55,000のwork visaをhigh-skilled advanced graduates of American universitiesに当てることで、ある分野で望ましいスキルを持っている人は就職につき、global competitivenessにつながるという考えです。その法案はThe STEM Jobs ACTといいます。
9月16日、Christian Science Monitor, Should high skilled immigrants get special treatment?
リンクした記事では高いスキルを持つ移住者は特別に扱うべきなのかと問います。
最近のレポートではSTEM degreeを持っているアメリカ人の数が不足していると発表されました。調査の結果で3人の中4人のアメリカ人がSTEMの新法制をサポートしているので、法案の人気が出るそうです。The STEM Jobs Actは限られていたトップリサーチ大学からPhDの卒業生を優先しています。
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(引用:栄陽子留学研究所.太字は筆者による
https://www.ryugaku.com/blog/entry/STEM-us-news.html)
このSTEM分野であると、卒業後に29カ月のOPT(Optional Practical Traning)がもらえます。OPTとはF1の学生が卒業後、実地的なトレーニングを受けることを目的としてアメリカで働くことを許されるという制度です。つまり、就労ビザの問題を先延ばしする手段のひとつです。
通常は12か月のOPTがSTEMだと3年間になるのがSTEM分野の大きなメリットです。また私はあまり詳しくないですが、就労ビザへの取得に際しても色々メリットがあるようです。
OPTに関しては以下の記事が体験者の目線になっており、非常に丁寧だと思います。
私は「留学するなら絶対STEM!」ということを主張したいのではありません。そうではなく、「もしやりたいことがなく留学するなら、一度はSTEMという制度を検討、調査べき」だということです。
もっと抽象化すると「将来は欧米に出てみたいな」とふんわり考えている方は、「現地で外国人に何が求められているか」を考えると良いと思います。