受験への英語 受験からの英語

英語中級者からの脱却を目指して!

受験英語について

大学受験生の皆さんは、今は大学受験用の英語の勉強をされていると思います。

そして、「大学受験で培った英語力は、TOEICTOEFLでどれくらい通じるのか?」という疑問がうっすらと脳裏にあると思います。
僕は大学受験の勉強をしているとき、少なからずこんな思いがありました。
ただ、受験生は時間が限られていてこんなことをまじめに調べる時間もないでしょうし、たとえ、受験英語が実際に通じないとしても、これをマスターしないと大学に入れないので、受験英語をやるしかないと感じているのではないかと思います。

そんな受験生に、僕個人の回答をしてみたいと思います。


それと、その前に、今これを読んでいるの方の中には「一概に大学受験ってまとめてるけど、大学受験にもレベルがあるじゃないか」と感じる方もいると思います。
実際、大学受験時や合格直後にはその差は多少あるように感じますが、僕がMARCHと旧帝、ふたつの大学に通って感じたことは、思ったよりその差は大きくないということでした。
当然、偏差値と英語のスコアは相関するのですが、意外と宮廷の学生でも僕と同じような点数で伸び悩んでいる英語勉強仲間を僕は片手の指の数以上知っています。一方、MARCHではあるけれど、すんなりTOEICTOEFLでとんでもない点数を出した友人も同じくらい知っています。

確かに大学受験は大事なのだとは思いますが、あくまで受験時一瞬の点数を評価しただけのものだったのだなと思います。
僕自身がMARCH在学中は「旧帝の人に勉強で勝てるとは思えない」と思っていたので、MARCH志望の方がそう思うのもよくわかりますが、そんなに絶望的な壁ではありませんでした。

もっと言うと、大学受験で1、2年頑張るよりも、大学入学後の4年間頑張るか否かで簡単にその差を埋めれるどころか差をつけることが出来るのだなと実感しています。

よって、僕が代表的と思う参考書のレベル(単語帳ならターゲットやシス単と速単必修編&上級編、単語王、文法はネクステとフォレスト)を受験レベルと考えて、話を進めます。


それと、TOEICTOEFL、IELTSをまとめて議論することに違和感を感じる人も多いと思います。
ここでは、あくまで大学受験とその後の試験という対立軸を明らかにするためにひとまとめにしています。
今後、これらの違いにも詳しく触れるつもりです。


では、大学受験とTOEICやその他の試験のリーディングのみを(1)ボキャブラリー(2)文法(3)構文解釈の3つのパートに分けて比べてみましょう。

(1)ボキャブラリーについて

ボキャブラリーを測るのにこんなテストがあります。
http://testyourvocab.com/
「ひとつでも意味を知っている単語にチェックしなさい」だそうです。
ぼくはこれによると6340wordsだそうです。

受験英語とその他の英語の試験で違う点のひとつにボキャブラリーのレベルがあげられると思います。
受験英語はその点では楽だったと思いますし、多くの英語の試験は大学受験よりボキャブラリーを求めます。
また、The EconomicstやWallstreet Journalなんかを読むと知らない単語がわんさか出てきます。
そういった意味でも、
受験英語ボキャブラリーはやや簡単な大学が大多数」と感じます。


(2)文法について

一方、文法については大学受験は非常に難しいと思います。
僕は自分が大学受験生の時にはスクランブルという以下の本を使っていました。

Scramble 英文法・語法 第3版 (大学受験スクランブル英文法・語法)

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 また、受験を超えた英文法を身に着けてみたいと思って、

Grammar in Use Intermediate Student's Book with Answers and CD-ROM: Self-study Reference and Practice for Students of North American English (Book & CD Rom)

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も持っています。これは

English Grammar in Use with Answers and CD-ROM: A Self-Study Reference and Practice Book for Intermediate Learners of English

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 のアメリカ英語版です。一応、青いイギリス英語版も紫のアメリカ英語版もどちらもAmazon.comAmazon.ukでも非常に評価の高い文法書です。 

レベルはintermediateなので中級ということです。
ただ、この紫のGrammar in Use より上のスクランブルのほうが難しい表現までかなり載っています。
なので、もし大学受験の文法を完ぺきに身につけられたら、ノンネィティブとしてはどこに行っても恥ずかしくないレベルだと感じます。


しかし、注意が必要なのは、実際に英語を書く立場やしゃべる立場になったときです。
よく「時制」や「冠詞(a, an, theのこと)」を日本人はよく間違えるというと思いますし、特に冠詞はそれ専用の本まで本屋の英語コーナーに行けばあると思います。
たとえばこんな本ですね。

aとtheの底力 -- 冠詞で見えるネイティブスピーカーの世界

aとtheの底力 -- 冠詞で見えるネイティブスピーカーの世界

 

 そして、冠詞や時制の間違いが頻出することを指摘している本としてはこちらがあります。

日本人の英語 (岩波新書)

日本人の英語 (岩波新書)

 

 僕も受験生の時は「時制なんて比較や仮定法に比べたらずっと簡単じゃないか」と思っていましたが、今IELTSやTOEFLでライティングをしてみると、ミススペルの次に多いのが冠詞の間違い、時制の間違いです。


たとえばinformationなど明らかに不可算名詞でいつでも数えられないものはよいのですね。上記のスクランブルにも載っています。
特に可算・不可算の区別は「具体的なまとまりをもつなら、数えることにする」と解説されることが多いように思います(たとえばForest)。

ここで問題になるのは、controversy「議論」、crime「犯罪」、habit「週刊」などは文脈に応じて可算にも不可算にもなる単語です。これらの峻別は「具体的な議論(や犯罪)をイメージするときは可算、一般的なものなら不可算」と区別します。その場その場で判断するのはなかなか厳しいです。

また、いかにも具体的なまとまりをもたなそうなtrend「傾向」などで可算名詞になるものがあります。

もう訳がわからないですよね。苦笑
そして悲しいことに文脈で判断するものやニュアンスで判断するものはあまり大学受験の問題になっていないかと思います。
なので、トレーニングがそもそもできていなくて苦労するのだと思います。僕みたいに。笑


文法についてまとめると、「大学受験の文法の解説、特に比較や仮定法なんかはかなりハイレベルですが、大学受験では問題にもならなかったような文法事項が実際の運用(書くときや話すとき)には問題になるということです」
TOEICは原則的にライティングがないので、文法は大学受験よりずっと楽ですよ。


(3)構文解釈について

大学受験だと「ひとつの文章が何行にも渡っていて」「等位接続や関係代名詞がどこにかかってるのかすらわからない」ような英文を和訳させることがしばしばあると思います。

そしてその対策として、

ポレポレ英文読解プロセス50―代々木ゼミ方式

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英文読解の透視図

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英文解釈教室 改訂版

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 こういった英文解釈対策の参考書が人気だと思います。


一方、TOEICTOEFL、IELTSで大学受験ほど難解な英文に出会うことは、多くはないです。 
文章が読めないときは、単純にボキャブラリーが原因、もしくは解説されている概念が難解で、日本語であっても理解できないということがしばしばあります。特に私は院生で英文で論文も読むので、論文を読む際には後者の「たとえ日本語でも理解できない」現象は多発します。


この点から、「大学受験でしっかり解釈の勉強が出来たら、あとはそんなに必要ない」といえると考えています。



以上のような違いがあると思います。
まとめると、ボキャブラリーこそ受験英語はやや簡単かもしれないけれど、総じて十分レベルは高いと私は思います。

それでも、「受験英語は役に立たない」という話をする人をよく見かけます。 
受験英語だとしゃべれるようにならない」という意見は特に。 

たとえば、元イェール大学助教授、現塾講師の斉藤先生はtwitterや書籍上で受験英語に問題があり、その改善方法について指摘されています。

 

世界の非ネイティブエリートがやっている英語勉強法

世界の非ネイティブエリートがやっている英語勉強法

 

 たとえば、イェール大学では言葉だけでなく、その国の礼儀や作法まで学ぶと書いてあり、それによって語学の上達速度が高まると。

斉藤さんの仰ることは説得力もあるのですが、なかなか日本全体に普及するのは難しそうに感じます(彼もそれを意図していないとは思います)。

 

文科省によると、高校英語教員のうち、

英検準一級、TOEIC730、TOEFLibt80、TOEFL PBT 550、TOEFLCBT213点の

どれかひとつでも持ってる教員は英語教員全体の52.7%だそうです。

(ソース:http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/102/shiryo/__icsFiles/afieldfile/2014/06/30/1348956_02.pdf

文部科学省『英語教育の在り方に関する有識者会議(第五回)配布資料(資料2-2-2)』11項)

 

僕はこのスコアをやや上回る程度ですが、この程度だと、正確にエッセイを書くのは至難の業です。

文法だけでなく、「伝えたいニュアンスを伝えられてるか」まで評価するとほとんど書けません。

 つまり、そもそも指導者に問題があるように思います。

 

また、例え指導力があったとしても、スピーキングやライティングのような指導は手間暇かかりますし、それをテストにすると、採点に莫大な費用がかかると思います(だからTOEFLやIELTSは高いんでしょうね)。

 

以上のような観点から、受験英語はライティングやスピーキングがない点から決して良いものではないけれど、リーディングのレベルは低くないし、悪いものでもないというのが僕の見方です。

最近では安価で英文を添削してくれるサービスや場合によっては無料のもの(たとえばLang8 Multi-lingual language learning and language exchange | Lang-8: For learning foreign languages)もありますし、会話も3000円~/月でskypeでできますもんね。

本人のやる気次第で何とかなるのだと思います。

 

今回は留学の話は一切触れませんでしたが、

「留学しないと伸びない」かどうかの意見についてはまた今度したいと思います!